5月5日、少女達はキャンバスに降り立つ

 

俺には書きたくても絶対に書けない記事というものが、少なくとも2つある。

どういう意味かというと、別に深い意味はなくて、単に「動画をちゃんと見た事がないから、何を書けばいいのかわかりません」というストレートな意味だ。

 

隠さずに名前を出してしまうが、まず「俺が書けない記事」の1つ目は、

「YUA」の名で通っている藤崎由愛ちゃん。

 

だけど、この子はまだ良いのだ。

少ないとはいえ他のVYTと絡みがあるから業界で孤立していない。

 

確かにYUAちゃんはその手の事でネタにされる事が多い子だけど、それは裏を返せば「ちゃんとVYTファンから存在を認識されている」という事でもある。

 

だが文字通り、本当に業界から孤立しているグループが存在していて、

それが「俺が書けない記事」の2つ目である、この「岩本町芸能社」という名の企業に所属する5人の少女たちだ。

 

 

岩本町芸能社。 

ここはバーチャルYouTuberだけが所属する芸能事務所だ。

 

今でこそVYT専門の事務所が増えたが、明確に芸能事務所として位置付けできる企業は、

もしかしたらここが世界初かもしれない。

 

そして、所属するタレントは全6名。 

 

(アイドル部)

・鈴木あんずチャン。

 ぱっと見は少し暗い印象を受けるが、実はかなり頭が切れる女の子。

・白藤環ちゃん。

 どんどん前に出ながらしゃべり続ける、しゃべる永久機関な女の子。

 

※この2人のユニット名は「あんたま」と呼ばれている。

 この「あんたま」というユニット名が一番知名度が高いとは思うが、

 今は5人揃って「えのぐ」なので、

 あえて「あんたま」のカテゴリーは作らない事にした。

 

(女優部)

・日向奈央ちゃん。

 スポーティーな黄色いパーカーがよく似合う、ショートカットの少年ぽい女の子。

・栗原桜子ちゃん。

 柔らかでふんわりとした印象の、とろんとした声の女の子。

・夏目ハルさん。

 おしゃれな髪が印象的な、立ち姿の美しい女の子。

 

(俳優部)

・馬越健太郎クン。

 所属メンバーではただ一人の男性タレント。

 業界知名度が非常に高く、全バーチャルYouTuberでみてもトップクラスで有名。

 むしろ知らない人の方がモグリ扱いされるほど。

 なぜかケンタウロスの姿をしているため、ばあちゃる氏のライバルとも目されている。

 ちなみに彼の体重だが、公式では300キロとなっている。

 この数字は下手をすると、5人の少女達の合計よりも上なのではなかろうか?

  (「えのぐ」と「馬」で「絵馬」みたいなユニットは作らないのかな?)

 

(マネージャー)

・丸茂氏。

 この中では唯一の実写キャラ。

 せっかくのバーチャル芸能事務所だし、いっそ彼もVYTにしてしまった方が良いのでは。

 

 

俺は今までずっと、彼女たちの動画を一度も見た事がなかった。 (馬越クンだけ見た事ある)

もしかすると去年の夏ごろ、一度か二度くらいはYouTubeのサムネイルをクリックした事があるかもしれないが、残念ながらその記憶さえ定かじゃない。

 

持っている知識といえば「あんたま」というユニット名を聞いた事がある程度。

だが、これは決して俺の勉強不足のせいではない。

 

彼女たちのファンならば嫌というほどわかっていると思うが、運営する会社の立ち回り方に問題があったせいだと思う。

俺は事情を詳しく説明できる立場ではないので、できれば彼女たちのファンの人達が書いたブログを見てあげてほしい。

検索すれば上の方に出てくると思うから。

 

 

ここからは俺が個人的に調べた事だけど、本人のチャンネルで一番古い動画を調べた限り、

2017年8月12日にYouTubeで動画を初投稿している事がわかる。

 

この日付だが、実はシロちゃんの3つ目の動画である「自己紹介」と同じ日に当たる。

つまり、確実に最古参のVYTグループという事になる。

 

ちなみに彼女達は「VRアイドル」と名乗っているようだが、これに関しては特に本人達が否定しない限りは「VYTという大ジャンルの中に含まれる小ジャンル名」と考えるべきなので、この辺の名称の細かい違いは無視して、あくまでもVYT扱いで話を進めさせてもらう。

 

で、これほど長く活動しており、なおかつ企業系であるにも拘わらず、登録者数も再生数もかなり少ないのだが、その最大の理由として「閉じられた小さな世界の中にいたから」という事情があげられる。

 

 

例えば、俺が今までに見たファンの書き込みに「彼女達はツイッターの使用を禁止されている」とか「他のVYTに接触するのを禁止されている」という内容のコメントを何度か見た事がある。

 

どこまで事実かはわからんが、外から見ている分には確かにそういう印象が強かったな。

四天王からも天魔機忍からもあまりに離れた場所にいたから。

 

多分さ、この「ツイッターを使わせない」とかいう話は、所属タレントの失言や身元バレを防ぐためだとは思うんだよ。

 

後は、悪意を持つ人物が接触してくるのを防ぐためとかな。

大事な虎の子を守ろうと思ったら、その虎の子を外界から遮断して、外の世界の汚い人間が近づけないようにするものだから。

 

だけど結果として、俺から見ると岩本町芸能社さんの中だけが揉め事だらけのドロドロで、

その外に広がるVYT業界自体はとても綺麗な業界にしか見えないんだよね。

 

会社の大人達が全部コントロールしようとしてたんだろうけど、実際には彼らは全然大人なんかじゃなくて、タレントよりも先に、その自称大人達が失態をさらしまくった、というオチだったのかな?

 

 

本来であれば、これほどまでに高い技術力と設備を誇る企業であったなら、まず最初にそこに目が行くものだと思うんだ。

だけどみんなそこは素通りして、なぜかネガティブな部分ばかりがクローズアップされてしまう。

 

他の企業はちゃんとVYTそのものが注目されているのに、ここだけはそうじゃなくて、企業だけが注目されてきた印象がある。

もはやVYTうんぬん以前に、ただのバーチャル芸能界。

テレビの芸能界の汚い部分だけをバーチャルの世界に持ち込まれた感じすらする。

だから近づこうという気にはなれなかった。

 

 

ずっと応援してきたファンには申し訳ない事を書くけど、外から見ていてこの会社は「ぐだぐだ」なのか、それとも「必死」なのか、あるいはその2つが入り乱れて「ぐちゃぐちゃ」なのか、まるで見分けがつかない。

 

俺にはファンの気持ちはわからないけど、もしかしたら「彼女達の事は応援するけど、会社自体は好きではない」のだろうか?

 

 

それにしても、デビュー時期がブームより遥かに前である事と、高い技術力と設備を誇る事を考慮すると、やはりこの登録者数の少なさや知名度の低さというのは問題を感じる。

まるで彼女達のいる世界だけ、VYTブームが来なかったパラレルワールドのよう。

 

 

 

...で、ここから本題。

 

もう既に一ヶ月以上前の出来事になるが、2018年 5月5日 (土) に、

VRアイドルグループ「えのぐ」による、初のオリジナル曲お披露目ライブが行われた。

時間にして約25分の生放送。

 

このライブで、俺は彼女達の事を初めてちゃんと見た。

 

俺が見たのは生放送じゃなくてアーカイブの方なんだが、

YouTubeに表示されたサムネイルを見た時に、何となく「これは見た方がいい」と感じた。

 

俺がそう感じた理由は多分、ブーム前から活動していた彼女達なのに「初ライブ」となっていたせいだと思う。

他のVYT達がどんどん先へ先へと進んでいく中、彼女達はこんなにも長い間、自分達の曲を歌う事すらできずにいたのだと、サムネイルの「初」という一文字で察したからだ。

 

 

本当はね、記事にするつもりなんてなかったんだよ。

俺はファンとして彼女達の事を「中」から見てたわけでもないし、そうかといって「外」から客観的に観察していたわけでもない。

殆ど認識できていなかったのだから、客観的な記事を書く事すらできないわけで。

 

だけどライブのアーカイブを見終わった時、彼女達の事をろくに知りもしないはずなのに、

なぜか感動してた。

 

多分、情が移ったのだと思う。

だってさ、バーチャルなのにズルせずにリアルタイムで歌ったり踊ったりするんだぜ?

 

ライブ後に「緊張で足が震えた」と言ってた子もいたけど、普通だったらバーチャルなんだから幾らでもズルができるわけじゃん?

録画しといた映像を流せば良いんだから。

 

でも彼女達にはそういう発想が微塵もなくて、俺はそこに清さ、正しさを感じた。

震える足で、必死に練習した事を全部出そうとする彼女達はとても素敵だった。

 

 

俺はアイドル文化にはまった事が一度もなくて、タレント業の事を心のどこかで「ちゃらちゃらした業界」と決めつけてた。

実際にはそういう所も多いんだろうけど、彼女達のライブを見ていて、必死に生きている同じ人間なんだな、と思ったわ。

 

 

 

最後に。

 

えのぐの5人は、下手すると記事にするのが最後になりかねないので、記事の一番上に貼り付けるカテゴリーの所に、今回この記事には一切出てこない四天王の名前を強引に貼り出しておく事にしたわ。

 

せめて俺のブログの中だけでも一緒に混ぜておこう。

いつかこんな風にみんなと一緒になれると良いね、という願掛けの意味を込めて。